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ちゃっす、佐々木でんす。今回はなんとなく2000年以降の音楽についてポチポチと考えることがありつつって事を書こうかななんて思います。主に外国の音楽、特にクラブミュージックについてって感じです。まああくまで個人的な主観と言うか、自分がかじってきた音楽でしか話できませんのでご了承を。


まあとりあえず90’s~00’sまで

アメリカなんかでは90’sのHIPHOPなんていうのはJazzやSoulのレコードをサンプラーで録音してループを回す、という制作方法で作られておりましたね。コレもある意味懐古趣味的というか、まあでもスンゴイ今思うと音楽シーン全体はすんごいミニマルだったと思います。

ハウスもラテン風味だったり、ソウルミュージックの影響の強い物なんか沢山出ていて、今思えば結構内省的というか、精神的な感じだったと思います。とりあえず90’sのアメリカ音楽って言うのはなんだかんだ民族音楽ですよね。様々な人種がいる国であるからこそ、ラテンの物、ブラックミュージック、アフリカ的なもの、ジャマイカ的な物、こういった様々な土着的な身体感覚をベースに音楽が作られていた様な気がします。

同時にイギリス。イギリスで何が起きていたかというとこれまた暗い。基本的にはトリップホップと呼ばれるような、暗くて陰鬱で実験的なHIPHOP、またはIDM、後のエレクトロニカという電子音楽の新しい切り口を見せる実験的な音楽が幅を利かせていたように思います。陽気なパーティー要素ゼロ。

ドイツやアメリカの辺境デトロイトあたりではテクノでしょうね。デトロイトテクノとドイツのテクノが積極的に親交を深める訳ですね。まあこれらもすんごい暗いしミニマル。MAURIZIOなんてクソミニマルすぎて死ぬる。かっこよす。

ちなみに90’s~00’sというのは、ある意味社会との闘争だったんじゃないかっていう気がしています。なんていうんでしょうかね、今書いたようなシーンっていうのは全部「不満を持った若者」だったり「貧乏だけど成り上がりたいガッツある若者」だったり「なんか商業的でちゃらいのムカつく」みたいな感じで、動機がいちいちハングリーでした。まあある意味カウンターカルチャーとしてのダンスミュージックの精神っていうのは2000年没かもしれません。

あと90’sっていうとレアグルーブというか、「温故知新」の時代でした。60~80年代の音楽で、価値が無いと思われていた音楽から価値を再発見していく時代っていえばいんだろうか。

00’s初期

ここら辺から徐々に商業化が進みます。もちろん90年代後期からじわじわと進んでいました。特に商業的になったのがHIPHOPですね。スウィズビーツとかネプチューンズとかDR DREとか、なんかMTVでイケイケなブリンブリンなHIPHOPがどんどん商業的になっていきます。ぶっちゃけここくらいからHIPHOP嫌いになりました俺。

まあやはりMTVといった巨大なメディアがHIPHOPに強烈に力を入れ、なんていうか2000年代初期っていうのはああいうキラキラしたエグイ、パブリックイメージむんむんのHIPHOPがすんごい流行ってたように思います。要するに脱アンダーグラウンド。

あとヨーロッパではイビサ島のパーティーが非常に盛り上がっていた時期じゃねえかと。NYのハウスDJなんかもしょっちゅうイビサ島にプレイしに行って、みたいな感じだったと思われます。

あとこの時期凄い影響があったのが多分イギリスの音楽雑誌NMEだったんじゃねえかと。「2STEP」とか「UKガラージ」とか、今思えばちょっと失笑しかねない新ジャンルみたいなのをサクサクと作りまくり(作られてはダサくなり捨てられ)、現場やリスナーの精神性とは一切関係ないところでブームをねつ造しまくりです。ダンスミュージックの細分化が病的になったのはNMEあたりのおかげだって思ってます。ちなみに有りもしないブームをねつ造するのを「Hype」って言います。豆知識。

ちなみにエレクトロニカあたりは完全に市民権を得たのが2000年くらいですかね。ある程度実験性と大衆性がきちんと折り合い付いたアーティストが沢山でてきた時期だったんでしょう、エレクトロニカ。Prefuse73とかHerbertとか。それまでは結構取り上げる雑誌もあんまり無かったし。日本国内ですとFADERなんてその手の雑誌がありまして、それ読んでる奴って友達少なそうな奴ばっかりでしたね。

まあちなみにここから5年くらいはあんまり大した変動はなかったよーな。

00’s中期

ここら辺からちょっと雰囲気変わってきます。なんていうんだろ、「ベースミュージックの台頭」って感じ。ブラジルでバイリファンキというゲットーベースっていうか、ダンスホールレゲエを三割増しで凶暴にしてちょっとマイアミベースっぽいムードが有るような、って感じの音楽ですね。代表的なのはMIAかしら。サイレンうるせえ。

ついでにこのころじわじわと「DUBSTEP」なる音楽が出てきます。DUBSTEPって全然DUBと関係無い。命名はまたNMEさんかもしれない。DUBSTEPはブリンブリンなHIPHOP的世界観とゲットーベース的な凶暴なベースラインが特徴ですね。

地味にエレクトロニカ的技法というか、非常に綿密なプログラミングが実はされている、というのも特徴じゃないかと。まあここら辺についてはNativeInstruments社の発売したシンセサイザーの影響がすんごい大きいですかね。MASSIVE。

ちなみにDUBSTEPつっても多様です。ジェームス・ブレイクとかシャックルトンとかは静かですね。ちなみに「自称DUBSTEP好き女子」に前者を進めたら「DUBSTEPじゃないじゃん♪」って言われました(笑)まあEDMと呼んですでに差支えないスクリレックスさんとかを世間ではDUBSTEP言うのでしょうかね。

00’s後期

まあ前述のDUBSTEPあたりの技法を消化した、新しいダンスミュージックのジャンル「EDM」なんていうのが出てきます。エレクトリックダンスミュージックの略称だっけか。またNMEさんが頑張ったんでしょうか。何がすげえってとにかくお金が儲かるみたいです。凄い流行ってる。ダンスミュージックは余りお金にならないジャンルだったらしいのですが、EDM以降は事情が違うらしいっす。

音楽的にはアレですね。「商業的なHIPHOP」の感じとか「ユーロビート(笑)」とか「トランス」とか、「ロック」とか非常に受け入れやすそうな、というか商業的に振る舞って成功してきた音楽の要素をごった煮にした感じでしょうかね。つうか偉い白人向け。リズム感の無さとか。

まあコレは絶対にHypeだ、って思ってるんですけど、なんかEDMの気持ち悪いところって「動機」の見え無さですね。とにかく快楽的なだけ。過去のカウンターカルチャーというのはビートニクスやヒッピーやモッズやら、絶対に精神的な動機があったんですよね。人種だったり労働者階級の苦しみだったり。

しっかしEDMに「若者の不満」みたいなのがあるかっていうと全然そんな雰囲気なくて「テキーラ一気で楽しい!!」とか「あの姉ちゃんいいケツしてる!!」とかそういう雰囲気をバリバリ感じます。まあそんなもんです。軽薄なものこそ大衆的なのは過去の音楽チャートを見れば一目瞭然ですし。

まあさすがに2000年ごろのRadioHeadのKID Aバカ売れ、みたいな、なんか人生ずっとトラウマ、みたいな感じをずっとひきづって行くのもみんな大変だし、たまには息抜きしようぜ、的でまあいんじゃね?くらいには思いますがね。

ちなみにアンダーグラウンド物だとウチのメンバーむったんが「マシーンドラムの新作はジュークっていって新しい音楽らしいですよ」なんて言ってました。これもまあベースミュージックですかね。DUBSTEP的なBPMとか2000年代以降のHIPHOPのビートプログラミングとか、意外と90’sっぽいサンプル感とか、まあスンゴイ様々な要素をごた混ぜにしたやっぱりベースミュージックですね。かっこいいけど忙しいしうるさいので多分そこまで自分ははまらないと思います。

2013年以降

何が起きるんでしょうね。周期的に考えてあと二三年もするとまた根暗なかっこいい音楽が出てきそうですがね。

個人的には最近の音楽シーンっていまいち楽しくないです。なんていうかね、商業的過ぎ。特にアンダーグラウンドなダンスミュージックを好物に生きてきましたので、余りにも商業的で自分が信じてきた文化とは全く別方向の物が「ダンスミュージック」として大手を振って歩いてる状態にはちょっと複雑な心境ですね。

なんていうかね、最近の音楽の悪いところは「うるさい」ところだと思うんですよ。隙間が無いっていうかね。隙間が無いと入り込めないんです。押し付けられてる一方なんです。あと音の質感も角が立ってていちいち疲れるっていうか。あとグルーブ感あんまり無くて縦にクビ振れそうなとことかすんげー白人向けです。EDMあたりはそういう意味では「ロック」というか正確には「子供向けポップス」って感じでしょうかね。アドレナリンで音楽を楽しむのは中二の特権です。そういやあボカロ曲もそうですね。

まあリーダーがEDM好きなので頑張ってやりますがね、ぶっちゃけ嫌いですね。多分あの音楽は自分がつらい時に助けてくれません。やはり人生の重たい瞬間に自分を支えてくれた音楽体験っていうか、そういう精神性のある音楽がわたしゃ好きですしね。おかげでリーダーには根暗扱いされてますがね。でもなんだかんだ頑張って今EDMやってるんですけどね。

まあ暫くすれば面白い音楽や面白いムーブメントがまた出て来るでしょう。つうことで〆ます。

(text by 佐々木)