ミク調教1
ボーカロイドを買ってみたものの歌わせてみると音痴すぎてげんなり、という方も多々いらっしゃる方と思います。そういった方々の為に自分もまだまだですが自分の修行がてら調教方法について連載していこうと思います。

まずは簡単なトラックを用意し歌を乗せてみました。使用しているのは普通の初音ミクです。とりあえずデフォルト歌唱スタイルがそのままですと100%綺麗に歌えませんのでデフォルト歌唱設定を以下の様に設定しました。

ボカロ調教1
ここは人によって設定値が違うとは思いますが、自分はいつも以下の設定です。

ベンドの深さ=0%
ベンドの長さ=0%
上下共にポルタメントなし
ディケイ・アクセント共に50%

まずは上記の設定で即席で作ったトラックに歌を乗せてみました。以下のプレイヤーより聞いてみてください。全体的にどうしようもない感じですが即席ですのでご容赦を。

どうでしょうか。思ったよりも今回は調教をせずとも割合綺麗に歌っている部類でした。歌詞とメロディー次第で調教の難易度は変わってきます。

ちなみにCubaseにミクさんの歌のデータをインポートしてからWavesのルネッサンスコンプとルネッサンスEQをかけてセンドでリバーブを若干かけています。そこまで頑張ってミックスしていない状態ですが、コンプとEQのパラメーターは一応以下の様な感じです。ちなみにWavesのルネッサンスコンプとルネッサンスEQを使う理由はただの惰性です。余り癖が無いですしパラメーターも割と正直でありつつもアナログ機的な柔らかさが有るからですね。

ボカロ調教2

ボカロ調教3

コンプはボーカルプリセットそのまま利用です。コンプレッサーですがボカロでは無い通常のボーカルと同じような処理で問題無いと思っています。他にもたくさんコンプの種類がありますので詳しい方は色々と試してみてはどうでしょうか。EQにかんしては250hzあたりをカットしています。低域はバッサリカットで問題ないでしょう。画像よりも上の帯域からカットしても問題ないはずです。

2khz付近をブーストしています。EQ処理はバッサリですのでご容赦下さい。まあでも大体いつもEQのパラメーターはこんな感じになっている様な気がします。中域のカット帯域は500hzくらいになっている事もありますが。そこはエンジニアリングの領域ですのでモニタースピーカーの性能やオケとの兼ね合いなどもありますので頑張ってくださいね。


さて、再度調教に戻ります。


トラックの歌詞の内容ですが、以下になります。

あーどおしてだろおね
あーうまくうたえない
そしてぼくたちはまいにちきびしいと・くん
かたがこるけれどなきごといわずにと・くん

非常にマヌケな歌詞ですが、僕とミクさんの嘆きと慢性的な肩こりに対する怒りと怨念がこもっています。

まず歌詞の入力ですが、小さな「つ」ですが、こちらは音と音の間に休符を入れることでうまくいきます。以下の図みたいな感じです。

ボカロ調教4

さて、次にですがいつも自分が調教をする際に最初に済ます処理があります。コレも人それぞれ順番や方法がありますが参考までに。具体的にですが、単語や文節ごとにVELの値を調節します。以下の様な感じでベロシティーが文節や単語の最初は数値を大きく、終わり際に小さくなるようにします。これはDOMINO調整法を調べていた時に知ったのですが人間が歌う場合は歌いだしはアタック感が強く(母音が強い)息を吐くにつれ母音が弱くなり子音が強くなるという理由からです。以下の図をご覧ください。
※ボーカロイドの場合ベロシティーは音の強さ・音量ではありませんのでご注意ください

ボカロ調教5

以下は上記の処理を一通り実施したオーディオファイルです。劇的な変化はありませんが、前のファイルに比べて自然に聞こえますね。調整前のバージョンですと終始同じ様なテンションで歌っている感じです。ケロケロボイスであれば問題ありませんし狙いならば良いのですが少し人間らしくしたい調教の場合はVELの調整をまずは実施した方が良いと思っています。

さて、次の工程ですが再度ベロシティーをいじります。聴感上もうちょっと弱い発音というか母音のアタック感を薄めたい音のベロシティーをガンガン下げて行きましょう。経験上ですがDYNを調整するよりも先にまずはVELを調整した方が作業が早いです。大体ざっくり下げるのは「ん、さ行、か行、た行、ざ行、が行」ですかね。どのみち後半で再度ベロシティーをいじりますので大体気になったところは下げて行きましょう。自然に単語が流れていけばOKです。第二段階のベロシティー調整で以下になりました。

どうでしょうか、またちょっと単語や文節の流れがスムーズになったのではないかと思います。微々たる差ですが。このくらいざっくりとベロシティー調整を済ませた後に次はDYN(ダイナミクス)の調整をします。今のままだとところどころ音量に凹凸があり微妙ですので。小さくしたい音は赤字、大きくしたい音は青字で再度歌詞を書きます。ちょっとフレーズが早いとどの音が大きくて小さいか判断するのにも慣れが必要です。はい、肩こります。

あーどおてだろおね
あーうまうたえない
してぼくたちはまいにちきびしいと・くん
かたがこけれどなきごといと・くん

大体ざっくり聞いた感じだとここら辺が特に目立ちますね。ということでDYN調整してみました。上記の箇所よりも案の定たくさん調整した結果となりました。MIXしている状態だと解らなかったですがVocaloidで聞いたら意外と気になるものです。(画像クリックで拡大)

ボカロ調教6

ちなみに自分はいつもざっくりラインツールでDYN調整しちゃいますが、ペンツールでする方がやりやすい方もいると思いますのでそこはお好きな方で良いかと。本当にVocaloidで聞いている状態とDAWで混ぜてきくのでは大違いです。上記の状態から数度Vocaloidで調整してはDAWにインポート、という作業を数回繰り返して以下の状態になりました。聞けば聞くほどアラが目立つものですね。

ひとまず今回は入門編ですのでVELとDYNの調整のみです。調教道は奥深く、またやればやるほどド壺に嵌りますのでヴェロシティーもダイナミクスもまた後半で改めて調性する事になるのでしょう。次回は発音が悪い部分の調整にトライしつつ余裕が有ればもっと表情豊かにするところまで出来ればいいなと思います。

今回のVSQファイルを打ち込んだばかりの状態と最後の状態で用意しました。よろしければ以下のリンクからどうぞ。

ダウンロードするにはここをクリック